2010年11月27日土曜日

3035ブラック



ご覧のスニーカーは、弊社のFENNIX 3035ブラックです。

 

アッパー前方の甲部とサイドのラインにアリゲータを、側部から後部にかけて黒いエナメルを使用しています。
以前のブログ記事でもお伝えしましたが、今年に入りこのブラックはFENNIX 3035の5色のラインナップ中でも販売数の比率で23%というまずまずの売れ行きです。
決して派手な色遣いという訳ではありませんが、ワニ革と光沢のある黒いエナメルとのコンビが通(ツウ)好みなのではないでしょうか。

一昔前までは、靴と言えば黒、少し冒険して茶という時代があり、現在でもまだ多くの人にとってその慣習は残ります。
しかし、一方では国内でも足元のお洒落が進んでおり、街を歩く人込みの中にもカラフルな色の靴を見つけ出すことはさほど難しくなくなりました。
特に最近は、大人の履く赤いスニーカーも広がりつつあり、若年層だけに限らない「派手カッコ良い」がだいぶん認知されるようになりました。
私なども時々赤いFENNIXをデニムに合わせてみたりします。
しかし、多彩な色遣いで派手に目立てば良いかというと、決してそう言う訳でもなく、ユニークな形や色がその人のファッションに合っているというのがお洒落のベースです。
そんな中、選択する色はオーソドックスな黒でも、エキゾチックレザーにエナメルとなれば、広範囲で節度のある上級な「派手カッコ良い」が実現可能ではないでしょうか。

 

尚、これまで3035のブラックはモノトーンで、アッパーとソールすべてを黒で仕上げていました。



今月から新しく準備した3035ブラックは、画像のようにサイドのラインに使われるアリゲータの両脇の細いラインを赤にしました。
黒の中にちょっとだけ相性の良い赤が入ることで、少し重厚感が増したように思います。
スニーカーではありますが、私はこの3035ブラックを時々スーツにも合わせたりします。

ワニ革と黒いエナメルのスニーカー。
この響きがとても良く聞こえるのは、私だけでしょうか。

2010年11月24日水曜日

LEON 1月号



11月24日に発売されたLEON 1月号にFENNIXの広告が掲載されました。(269ページ)



今回の広告では、FENNIX 3114の4片足をモカ&クリーム、ブリック、ブラック、トリコロールの順に並べました。

以前もこの4片足で撮影した画像はありましたが、今回は靴の並びと撮影したアングルが異なります。
更に遠近感を出すために、焦点を手前に持ってきており、一番奥のトリコロールは少しピントをぼかしています。

右上に「ワニ革を使った大人のお洒落 カジュアル・クロコ」をいう文言を入れました。
以前、広告を見たお客様からお電話をいただいた際、開口一番「レオンに載っているこの型押しのスニーカー、いくら?」というご質問をいただき、びっくりしたことがありました。
お客様は画像だけを見て、スニーカーをお気に入りいただき、ワニ革を型押しと勘違いされたのでした。
本物のワニ革を普段使いする贅沢なお洒落を楽しんでいただきたいという「カジュアル・クロコ」のコンセプトを丁寧にご説明させていただきました。

今回はこのような感違いがないよう、しかし説明は最小限とした文言を準備したつもりです。

2010年11月17日水曜日

大丸 心斎橋店 5階紳士靴売場



本日11月17日より、大丸心斎橋店本館5階 紳士靴売場(06-6271-1231)でFENNIXの販売が始まりました。

関西地域のお客様、大変お待たせいたしました。
 




画像は開店前にお邪魔して、撮影させていただきました。

2010年11月12日金曜日

久々にオーストリッチでバッグをお作りしました



最近は、ワニ革のバッグをお作りすることが続き、他の素材でのご依頼は少なかったのですが、久々にオーストリッチでバッグをお作りしました。

このバッグはもちろんお客様のご要望に基づきお作りしたものですが、デザイン、サイズ共に非常に良くできた完成度の高いバッグになったと思います。
こちらのお客様はワニ革よりもオーストリッチの方がお好きな方で、バッグの色をご自身でお履きになっているパンプスに合わせて欲しいとのことでした。
また、他にも次の様なご要望をいただきました。
A4の書類を折り曲げずに入れられること、PETボトルが入ること、持ち手が外側に折れ曲がり寝ること、独立して立つこと、ポケットをいっぱい付けたい、硬過ぎずエレガントに。


 

 

 

 

まず、お客様のご要望に基づき、弊社のデザイナーが5案の「デザイン画」を描きました。
結局、お客様はデザインBをお選びになりました。
 






その後、仮の材料で上段の画像のようなデザインBの「仮縫いモデル」を作成し、風合いやサイズ感、その他細かい点をお客様にご確認いただきました。

 

この商品の最終仕様を確定し、作製に着手しました。











パンプスの色に合わせるということで、オーストリッチ革は染色から始めました。
内革は上品なオレンジ色の豚革スゥエードです。

バッグにも「静」と「動」があるとすれば、今回のオーストリッチでお作りしたバッグは「静」の部分が良く出た上品なものになりました。

2010年11月11日木曜日

FENNIXの展示ディスプレイ



こちらは、シブヤ西武B館6階 岸田書斎(03-3780-2518)でのFENNIX展示の様子です。

 

FENNIX 3114の総ワニ革タイプとベルト、ワインカラー。

 

FENNIX 3035、左からブラック、ホワイト、トリコロール、レッド/グリーン、ブルー/レッド。

 

FENNIX 3114とベルト、左からトリコロール、モカ&クリーム。

2010年11月9日火曜日

オーダーメイドバッグの価格に付いて

弊社の靴以外の商品の一つにオーダーメイドのバッグがあります。
素材は弊社の特徴であるワニ革が中心となりますが、ご要望があればオーストリッチを含めた他のエキゾチックレザーや上質の牛革ででもお作りします。
また、ご希望によっては、ワニ革と他の皮革とのコンビや、ちょっと贅沢にワニ革で複数の色遣いのバッグの製作も可能です。

さて、オーダーメイドのバッグをお勧めする際に、お客様から価格が高いと言われることがあります。
ご自身でお持ちのバッグを持って来られ、これはいくらだったのにというようにお値段を比べられます。

しかし、市販されている量産品の価格と比べ、一品でお作りするオーダーメイドが高くなるのはおよそご理解いただけるお話ではないかとは思うのです。
では、ここではなぜオーダーメイドが市販の量産品より高くなるのかというところを、多少の分析を含めご説明させていただきたいと思います。
 


上のグラフを見てください。

縦軸に数量(Quantity)、横軸に時間(Time)を取っています。
新商品を市場に投入すると、時間経過に対し販売数量の増減はおおむねこのようなカーブを描きます。
量産品の場合、発売初期に急激にとある数量が売れ、販売はピークに達します
そしてその後、緩やかに販売数が減っていきます。
息の長い商品であれば、これがより緩やかに長く。
短命な商品であれば、このカーブが急に下がってきます。
そしてある時点で市場性と在庫数、また生産設備の償却状況によって、その商品の生産中止を決断します。



メーカーはこうやって、商品A、商品B、商品Cと複数の商品を市場に投入していくことで、売上を上げ、利益を確保し、会社を存続させていきます。



ここで重要なポイントの一つとして、もし販売開始を決定した時期から実売が遅れた場合、遅れれば遅れる程、このカーブが相似形状で縮小していき、その商品のライフサイクル内での販売総数量が減少します。

商品には売れるブームがあり、そこから少しでも外れると販売数量は減り、また競合が同時期に類似品を販売した場合、遅れを取ることで他社に市場のパイを食われてしまうのです。
逆に他社より先行して新商品を適時に市場投入できれば、その販売数量は最大限に増やせる可能性はあるのです。
 


さて、その販売数量が市場で動く発売開始から生産中止までの間に、メーカーはどのように利益を上げていくかという話に移ります。

こちらのグラフでは、縦軸に金額(Price)、横軸に時間(Time)を取っています。
赤の線が商品の「価格」、緑の線がその商品を生産するための「コスト」を表しています。
発売当初は「コスト」は「価格」を上回っています。
例えば極端な話、量産計画を立てた商品が一つきりしか売れなかった場合、メーカーは大損をすることは想像に容易い事だと思います。
その商品が売れ始め、生産数量が増えていくに連れ、コストは下がっていき、ある時点で価格を下回ります。
このグラフでは、「価格」線が「コスト」線を上回ったところからできるA部分の三角形がこの商品から発生するメーカーの利益となります。



数年前、家電メーカーがテレビやビデオデッキを発売しても利益にならないというニュースが話題になりました。

量販店同士の価格競争が激化し、新製品の販売価格がどんどん下がっていき、結果として上段のグラフのように「価格」が「コスト」を上回らなくなったからです。
メーカーが市場に新商品を投入しても、儲からなかったりするのはこういう場合です。



オーダーメイドバッグの話に戻ります。

オーダーメイドの場合、基本的に商品はお客様のご要望に基づいた商品を一つしか作りません。
一つ作った商品のコストに利益を載せたB点が販売価格になります。
一方量産品の場合、発売当初は定価で販売していた商品も、市場性が薄れていき、早めに在庫を処分しなければならなくなると、少しづつ価格も下がって行きます。
そのような商品の価格をC点とした場合、B点とC点の差がオーダーメイドと量産品との価格差になる訳です。
このように比べると、オーダーメイドと量産品に価格差が生まれるのは容易にご理解いただけることと思います。

この価格差分、オーダーメイドの商品では、次のような利点があるのです。
まず、お好みの皮革を選択いただけます。
例えば、ワニ革で言えばアリゲータかクロコダイルか。
クロコダイルでも、もしその中の種類にこだわりがあれば、供給可能なものは準備いたします。
また、オーストリッチでもパンプスの色に合わせたいなどという特別色へのご希望があれば、それにお応えします。

その後、形状、サイズ、色をお選びいただき、更には個人固有の機能を重視した機構的な融通性を持たせることができます。
例えば、バッグの開閉をファスナーにするかマグネットにするかや、小さなことでは内ポケットの数、サイズをお好みのものにすることや、持ち手をお好みの長さにするなど。

結果として、世界に一つしかない、ご自身だけのバッグをお作りすることができるのです。

2010年11月4日木曜日

FENNIX 3114のビブラムソール



ご覧の商品は、弊社のFENNIX no. 3114 ブリックです。



この夏の終わりから、このブリックのお問合せが増えていますが、なかなかお客様へお届けができない状況でした。
8月はイタリアが国を挙げて夏休みのため、アーリープロジェクツ本社もお休みとなります。
その間、この3114 ブリックのように急に需要が上がってきた商品に対しては、在庫補充ができません。
また夏休み明けの9月は各国から注文分の生産が溜まっており、商品がなかなか出荷になりません。
結果として、弊社が8月に注文した商品のイタリア出荷が10月になったりします。
お待たせしたお客様、大変申し訳ありませんでした。



3114のブリックは、私個人としても好みの一つです。
デニムに合わせ易い色ということもありますが、暖色系でありながら赤ほどド派手ではなく、渋みのある大人の色調です。

多くの男の子がそうであるように、私も例外にもれず最初に持った本物の皮革製品は野球のグローブでした。
私の場合、小学生の時に父親からプレゼントされたもので、その革の質感がとても好きでした。
どういう訳か、この3114 ブリックはそのグローブを思い出させるのです。
 


さて、FENNIX no. 3114ですが、これまでワニ革の斑を象った靴底のソールを使っていました。
この3114は、木型を日本人向けに準備し、中敷きの裏の踵部には衝撃吸収用のジェル層を持つなど、幾つかのこだわりを持った商品です。
靴底もその一つで、普段は見えない部分にかかわらず、レーザー加工を施しアッパーに使われるワニ革の斑のイメージを出していました。
しかし、時間とコストを掛けたこの模様は、靴底に重要な滑り止めという機能にはあまり有効ではありませんでした。



残念ではありますが、この年末の出荷分から、3114のソールに付いては、随時ビブラムに切り替えていくことにしました。
ワニ革の斑を象った靴底のFENNIX 3114の出荷は、今月から来月にかけてまでとなってしまいます。



ビブラムとは
イタリアのビブラム社製のゴム底、ビブラム・ソールのこと。
ビブラムは、ビムラム社が作る登山靴、スキー靴、チロリアン・シューズなどのヘビーデューティな靴によく使われている独特のソールをさす。
山地や岩場、濡れた路面などの地形で、高いグリップ力を発揮し、踏ん張りがきく。
そのうえ、長時間歩き続けることを前提に作られているので、程よい弾力性があり、疲れにくいのが特徴である。

2010年11月3日水曜日

ワニ革のクラスト



ご覧の画像は、ワニ革の染色前のクラストです。
このクラストに色を付け、プレス加工などの最終仕上げ処理を施します。
 


弊社のオーダーメイドバッグの製作工程では、まず①お客様のご意向をデザイン画で具体化し、その後②製図を描き、③仮縫いモデルで確認と調整を行い、④最終製品の作製に着手します。

商品にどういったワニ革を使うかにあたっては、デザイナーが描いた製図に基づきクラストを選択します。
染色前のクラストの時点で最適な取り都合を確認の上、ワニ革を選びますので、サイズや斑模様はお客様のご希望通りにお作りすることができるのです。