弊社の靴以外の商品の一つにオーダーメイドのバッグがあります。
素材は弊社の特徴であるワニ革が中心となりますが、ご要望があればオーストリッチを含めた他のエキゾチックレザーや上質の牛革ででもお作りします。
また、ご希望によっては、ワニ革と他の皮革とのコンビや、ちょっと贅沢にワニ革で複数の色遣いのバッグの製作も可能です。
さて、オーダーメイドのバッグをお勧めする際に、お客様から価格が高いと言われることがあります。
ご自身でお持ちのバッグを持って来られ、これはいくらだったのにというようにお値段を比べられます。
しかし、市販されている量産品の価格と比べ、一品でお作りするオーダーメイドが高くなるのはおよそご理解いただけるお話ではないかとは思うのです。
では、ここではなぜオーダーメイドが市販の量産品より高くなるのかというところを、多少の分析を含めご説明させていただきたいと思います。
上のグラフを見てください。
縦軸に数量(Quantity)、横軸に時間(Time)を取っています。
新商品を市場に投入すると、時間経過に対し販売数量の増減はおおむねこのようなカーブを描きます。
量産品の場合、発売初期に急激にとある数量が売れ、販売はピークに達します
そしてその後、緩やかに販売数が減っていきます。
息の長い商品であれば、これがより緩やかに長く。
短命な商品であれば、このカーブが急に下がってきます。
そしてある時点で市場性と在庫数、また生産設備の償却状況によって、その商品の生産中止を決断します。
メーカーはこうやって、商品A、商品B、商品Cと複数の商品を市場に投入していくことで、売上を上げ、利益を確保し、会社を存続させていきます。
ここで重要なポイントの一つとして、もし販売開始を決定した時期から実売が遅れた場合、遅れれば遅れる程、このカーブが相似形状で縮小していき、その商品のライフサイクル内での販売総数量が減少します。
商品には売れるブームがあり、そこから少しでも外れると販売数量は減り、また競合が同時期に類似品を販売した場合、遅れを取ることで他社に市場のパイを食われてしまうのです。
逆に他社より先行して新商品を適時に市場投入できれば、その販売数量は最大限に増やせる可能性はあるのです。
さて、その販売数量が市場で動く発売開始から生産中止までの間に、メーカーはどのように利益を上げていくかという話に移ります。
こちらのグラフでは、縦軸に金額(Price)、横軸に時間(Time)を取っています。
赤の線が商品の「価格」、緑の線がその商品を生産するための「コスト」を表しています。
発売当初は「コスト」は「価格」を上回っています。
例えば極端な話、量産計画を立てた商品が一つきりしか売れなかった場合、メーカーは大損をすることは想像に容易い事だと思います。
その商品が売れ始め、生産数量が増えていくに連れ、コストは下がっていき、ある時点で価格を下回ります。
このグラフでは、「価格」線が「コスト」線を上回ったところからできるA部分の三角形がこの商品から発生するメーカーの利益となります。
数年前、家電メーカーがテレビやビデオデッキを発売しても利益にならないというニュースが話題になりました。
量販店同士の価格競争が激化し、新製品の販売価格がどんどん下がっていき、結果として上段のグラフのように「価格」が「コスト」を上回らなくなったからです。
メーカーが市場に新商品を投入しても、儲からなかったりするのはこういう場合です。
オーダーメイドバッグの話に戻ります。
オーダーメイドの場合、基本的に商品はお客様のご要望に基づいた商品を一つしか作りません。
一つ作った商品のコストに利益を載せたB点が販売価格になります。
一方量産品の場合、発売当初は定価で販売していた商品も、市場性が薄れていき、早めに在庫を処分しなければならなくなると、少しづつ価格も下がって行きます。
そのような商品の価格をC点とした場合、B点とC点の差がオーダーメイドと量産品との価格差になる訳です。
このように比べると、オーダーメイドと量産品に価格差が生まれるのは容易にご理解いただけることと思います。
この価格差分、オーダーメイドの商品では、次のような利点があるのです。
まず、お好みの皮革を選択いただけます。
例えば、ワニ革で言えばアリゲータかクロコダイルか。
クロコダイルでも、もしその中の種類にこだわりがあれば、供給可能なものは準備いたします。
また、オーストリッチでもパンプスの色に合わせたいなどという特別色へのご希望があれば、それにお応えします。
その後、形状、サイズ、色をお選びいただき、更には個人固有の機能を重視した機構的な融通性を持たせることができます。
例えば、バッグの開閉をファスナーにするかマグネットにするかや、小さなことでは内ポケットの数、サイズをお好みのものにすることや、持ち手をお好みの長さにするなど。
結果として、世界に一つしかない、ご自身だけのバッグをお作りすることができるのです。
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